「枳(からたち)」……SSブログサイト。(銀魂中心。他雑多。只今ヘタリアとかBASARAとかも。)

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01 鎖
 ほら、ヤラシイアンタには鎖がお似合いでさァ。
そう俺が云うと、猛然と怒り狂った、アンタ。
怒り捲くって罵詈雑言を吐き捨てるアンタ。
でも俺には馬耳東風。狂うなんざ今更だ。

本当の事なのに何で怒るんですかィ。
あァ、人間本当の事を云われると怒り出すって云うから、其れでですかィ?

 アンタの身体に絡まった鎖を無理矢理に引っ張り引き寄せながら、耳元で囁いてやる。
怒りからか悔しさからか、微かに肩を揺らした目の前の人を、唐突に殴りつけてやりたい心地に駆られた。
殴りつけて、みっとも無く地べたへ這い擦らせてやりたくなった。靴底で踏み躙って嬲ってやりたくなった。
だが今は未だ自制。直ぐに壊してしまっては面白く無い。
鎖に繋がれた、此の、獣。

 嗚呼本当──コイツ殺してやりたい。ズタズタにしてやりたい。
鬼を気取ってやがる癖に、結局は甘い性根の此の人。
其の甘さに付け込んで、好き放題している自分。
其の甘さに付け込まれ、好き放題されている、此の人。
其の甘さを、此の人が俺以外の人間にも垣間見せる度に、俺は酷く苛々してしまう。
アンタの無防備さに、時々途轍もなく腹立たしくなる。
──独占欲?此れはもう、其の様な尺度の問題ではない。
 こんな感情、俺は知らない。知らなかった。知りたくない。要らない。胸糞悪い。──苛立ちが深まる。
 俺をこんな気持ちにさせるのは、アンタだけだ。本当、ムカつく。

「……土方さん。殺して、良いですかィ。」
引き裂いて、良いですかィ。
手足、引き千切って良いですかィ。
其れでしか、アンタに苛々する自分を止められないんでさァ。
でも此れだけじゃ足りねェ。もっともっと──完全に逃げられなくする為にはもっと。
 そう呟きながら刀を抜く。ギラリと不吉に輝く鈍色の刀身に、自分の貌が映った。其れを見た瞬間、呆気に取られた。
──如何して俺はこんな貌をしているでィ。
こんな、こんな歪んだ──何時も無表情だと云われているのに、今は何で此の様な。

──今にも泣き出しそうに見える貌なのだろう。

 そして、アンタは何故怒るのを止めたんだ。何故怒らない。何でそんなに今、困った貌をしているんだ。
何故何時もの様に怒らない。俺は何時もの如くアンタに悪さをして、酷い事をしようとしているのに、何で怒らない。
怒鳴りつけて罵倒してくれなければ、俺は此のまま暴走する。
 嗚呼──酷く苛々する。

 如何し様も無い位意地悪で穢くて鬼畜生な蛇蝎──其れなのに、結局は俺に甘いアンタが、嫌いだ。
……嫌い、ですぜ。だから。

「殺して、良いですかィ。」


02 薬
 転生郷?あァそんな名前だったですかねェ此の薬って。
別に名前なんざ如何でも良いや。此の前のガマ蛙事件の時、少しだけちょろまかしたんでさァ。

 …効いてきやしたか?
嗚呼、眼が違ってきた。
アンタのあんな困った様な……否。俺を憐れむ様な貌を見る位なら。
一層アンタの感情自体無くなっちまえば良い。
けれど全部無くなったら面白くはねェし。だからほんの少しだけ、理性飛ばして下せェ。

然し。──痛くしてんのに勃っ立ててるなんて、アンタ相当な被虐性変態性欲者だなァ。
──可愛いですぜ?醜くて変態なアンタは。吐き気がする位ェ、可愛いと思いやすぜ。

血に彩られた刃に舌を這わせながら、呟いた。


03 手錠
 何時も思う。俺とアンタは如何して違う個々の人間なんだろう。
同じ身体をもって生まれてきたなら、アンタが俺の意思に反して勝手に動く事もねェだろうし、アンタを俺の自由に出来るのに。
如何して違う身体なんだろう。
…思い切って食っちまったら、俺のモノになるのかな。
そうだ。少しずつ刻んで、少しずつ食ってやろうか。
アンタは筋張ってて不味そうだけど、其の味も其の悲鳴も俺にとっては甘露の味。
想像するだけで腹が減ってきた。…飢えてきやしたぜ。

 血塗れのアンタの前で、そう呟き続ける俺はさぞかし不気味だろう。
そう客観視は出来ても、此の思考は止められぬままに暴走を続ける。
取り合えず、此れ以上勝手な事をしねェ様に、手枷足枷しときやしょうね。
否、其れすらももう面倒だなァ。
ほんと、もう本気で手足切り落としちまおうか。

──ねェ、土方さん。


04 首輪
 もう此処までくると滑稽を通り越して喜劇だなァ。
首輪も良くお似合いで。一層此のまま市内歩いてみやすか?
しかしアンタ、何で此処まで俺に好き勝手させてるんで?
アンタなら、逃げる事も可能だった筈だ。
本気で変態なんですかィ?
其れとも、ただ憐れんでるだけってのなら好い加減にして下せェ。
嗚呼、心底腹の立つ人だなァ。
……何ですかィ。云いたい事が有るってのならはっきり云って……。


…………。

──何で其処で、そんな声で名前を呼んでくるのかなァ。
──何で其処で、そんな顔、するのかなァ。
──何で其処で、謝るのかなァ。

……ズルイでさァ。


05 リボン
 無言のまま解いてやった手枷足枷鎖に首輪。
殴られる事──殺される事すらも薄らボンヤリと危惧していると、不意に撫でられた、頭。
余りの不意打ちに、咄嗟に反応が出来なくて間抜けな顔を曝してしまった、かもしれない。
そんな俺を見て笑うアンタ。其のアンタの痛々しい傷跡を見て、今更ながらに先程迄の衝動を顧みる。

何故、赦せるんで?
ふと呟いた俺の言葉に、何も答えてくれないアンタ。
其のまままた再び頭部を撫で叩かれた。
ただ、其れだけで治まった俺の狂乱。
そんな自分も理解が出来ない。

 ──でも。
アンタの腕を切り落とす事だけは、しないであげやすよ。
撫でてくる手が嬉しいから。
何て、口が裂けても云えやしねェけど。

 けれど、俺が傷付けたアンタの傷跡に殊勝にも包帯を巻いてやりながらも、
此のまま絞め殺したり出来ねェかな…、とか再び考えてる俺は未だ未だ懲りない奴だなァ。

白い包帯は俺からアンタへのラッピングプレゼント。

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