「枳(からたち)」……SSブログサイト。(銀魂中心。他雑多。只今ヘタリアとかBASARAとかも。)

14 愛し合おう(初めて物語) 


「ァンンン……」
 銀時の足の間で腰を動かす男。黒髪の、強面の、男。理性の塊の様な、其れでいて終始獣じみた気配を漂わせている、男。己を貫いている、男。喘ぎながら笑い掛ける。相手からも、微かな笑みが返って来た。口付けを交わす。汗に塗れた互いの肢体を抱き締め合う。
程無くして追情の時。震えながら吐き出す、白い液体。
「…………。」
抱き合って呼吸を整えあう。銀時は、汗に濡れた土方の背中を指で辿る。すべらかな背の、背骨の窪みを一つ一つ指先で確かめていき、ゆっくりと腰へと滑らせる。そして土方の臀部へと掌を這わせる。

「……オイ…。」
其れまでしたい様にさせていた土方だが、其処で声をかける。だが銀時は気にせずに其のまま指を臀部の間、土方の後孔へと触れさせる。そして呟く。
「俺も挿れたいなァ……。」
「…ッオイ…!」
流石に焦ったのか、土方は銀時の其の手を取った。後孔に指を含ませる寸前、離された。銀時は膨れ面をする。
「やっぱ駄目かよ。」
「当たり前だ。…ったく、油断も隙もありゃしねェ…。」
ブツブツ呟きながら煙草を銜える男。此方は余韻もへったくれもない。
「何がイヤなんだよ。」
膨れたまま問い掛ける銀時。土方は片眉を引き上げてそんな銀時を見る。
「何でって…当たり前だろ。」
「何が当たり前?」
「俺ァ男だぜ!?突っ込まれたかねェよ!」
「俺だって男だァアアアア!!!」
余りに余りな土方の言い分に、銀時は絶叫した。流石にしまった、といった面持ちの土方。銀時は更に怒鳴る。
「テメェ少しは譲れや!!あれもイヤ、此れもイヤっお前は我侭ハニーですかっ。」
「いや、どっちかというとお前がハニーだろ。」
「ああ云えばこう云う!」
「其れもどっちかと云えばお前。」

 話にならない。銀時は、綿菓子の様にふわふわとした頭を掻き毟った。土方はあんだコイツ、といった面で眺めてきている。そして云い放った。
「あんだよお前、突っ込まれるのが趣味だったんじゃなかったのか?」
「…!!!!!!!おおおぉおおお…!!!」
「ん?」
「も…良い……。」
「そーか。」
ぐったりとした銀時を尻目に煙草を吸い終えた土方は、シャワー浴びてくる、と立ち上がり風呂場へと行った。

 銀時は暫し呆然としていたが、次第に怒りが沸いて来た。
 土方のあの関白亭主ぶりは一体何事だ?己も関白亭主になりたいのに!!寧ろ俺用だろ其れは!!!……じゃねェ。話がすぐ脱線するのは己の悪い癖だ。銀時は一人で咳払いをした。もとい。
 ──突っ込まれるのが趣味、だと思われていたのは…相当ショックだ。
 ぶっちゃけると、己もタチの方がいい。そりゃそうだ、生粋の男色家ではないのだ、己は。おんにゃのこも好きなのだ、己は。もてないが。…もてないがもてないがもてない、が、が……っ。もといもとい。
 土方の事も抱きたくて堪らないのだ、本当は。あの、常に余裕ぶっている綺麗で憎たらしい貌を崩して、快楽に喘がせたい。泣かせまくりたい。突っ込んで喘がせまくりたい。其れはきっととってもとっても、とって、も……ヤバイ、鼻血が出そうになった。銀時は慌てて鼻を押さえる。
 だが、土方の方がネコの立場に相当、そりゃもう相当に抵抗があるのを知っていたので、今迄譲っていただけなのだ。お互い自己主張が激しい者同士。譲り合わなければ喧嘩になるのは必至。ならば、まだ余裕がある者が譲るのは仕方の無い事なのだろう。結果、ネコの経験が過去にあった己が譲ったのは、空気を読んだ結果と云えよう?
──なのにアイツは。土方は。
……銀時をさも、ケツを掘られて悦ぶ人間の様にほざいた。此れには流石の銀時もぷっつんきた。

 ──犯そう。土方を。
 銀時は決意した。

 だが唯犯しただけでは、意味が無い。殺されるだけだ。ぼこぼこにされるだけだ。其れでは唯のヤり損だ。そうまでして犯したい訳では無い。
 そう、やるからには土方からも求めさせたい。土方からも「挿れて…!!抱いて!!」と、思わせる位に、したい。…流石に、「挿れて…!!抱いて!!」と云って来る土方は、想像したら気持ちが悪かった、が。
 だが其れ位迄は求められたいではないか。ネコの立場も結構いい、と判らせたいではないか。妙な男の矜持に拘っている男を崩したいではないか。ネコなどしては男の沽券に関わる、と、断固として拒否し続ける男を屈服させたいではないか。
 銀時は、楽しみが増えたな、と一人で不気味に笑った。
 ……風呂から戻ってきた土方が、そんな銀時を気持ち悪げに見詰めていた。


 数週間後の逢瀬。まぁ、逢えば、ヤる。そんな関係だ。今更純情も純愛も何もある関係では無い。そんなこんなでまたアンアンアン、だ。
 アンアンした後のベッドの上で、
「どんだけ穢れた仲なの俺達って。」
思わず銀時は呟いた。土方はまたもや煙草を燻らせている。
「あぁ?」
「いやぁ…相当爛れてるよね、俺達って。」
「……今更。」
「まぁそうだけどさ。こう、何つか、純愛とか求める訳じゃないけどさ。たまにゃ無難にデートとかもしたくね?」
「例えば?」
「お前が車で俺を迎えに来てさ、「待ったか?」なんて云って、俺は「ううん、全然。」なんて笑顔を向けて、其のままドライブ行ってさ。そうだなぁ…行く先は遊園地とかどうよ、遊園地。ジェットコースターに、コーヒーカップな?お化け屋敷はお前だけが入れよ?俺は待っててやる。ソフトクリームとか二人で食べてさ。「ほら、付いてるぜ。」「あ、どこどこ?」「ん、仕方ねぇな…。」とか云って舐め取ってくれたり。んで、やっぱ締めには観覧車だな。夕日を眺めながら乗ってさ、其処で二人は口付けを交わ……っておぃいいいいイイイイ早くツッコメえぇええええ!!」
銀時は己の妄想に耐え切れなくなり、遂に叫びながら身悶えた。
「や、何処まで続くか見守ってた。」
「見てみろ、此の鳥肌!サブイボ!!寒っ!寒いよ!キモイ妄想させんじゃねェ!!」
「テメェが勝手にしたんだろうが!!俺だって聞きながら背筋が凍ったわ!!」
「……やっぱ無理だよな…。」
「端から何を期待してんだ。」
「純愛どりーむ…。」
「オメー、俺達で其れは元から無理だろ。」
「判ってっけどよォ…。」
「爛れた恋愛感してる癖に、結構乙女思考なんだな。」
「オメーに云われたかねェよ。愛の戦士の癖に。」
「!?何で知ってんだテメ!!」
「沖田君に聞きました~~~。マヨラ13って…ぷぷっアホか、死ねっ。」
「テメェが死ねっ。………シャワー浴びてくるわ。」

 案外綺麗好きな土方は直ぐに風呂に入りたがる。だが銀時は思わず、立ち上がろうとする土方の腰に縋って其れを留めた。よろめいて倒れこむ土方。
「あんだよっ。」
「……もっかいしない?」
銀時の匂いを濃厚に纏いつかせている土方。其の匂いを早々に落とされるのは勿体無い気が何時もしている。甘える様にすりっと擦り寄る。だが、乗り気では無いのか、土方は其れを邪険に撥ね付ける。
「いいだろ~もっかい位~。」
「……疲れてんだよ。」
 そう云われて押し黙ってしまった。確かに、土方は夜勤明けだ。此れから一眠りして、また夜からも勤務があるのだろう。其れを考えると無理強いは出来ない。が。銀時は諦めない。──したい事があるのだ。
「あ、ならお前動かなくていいから。」
「は?」
「お前を弄らせてよ。」
「ハァ?」
そう云いながらゴムを用意する。袋を破り中身を取り出す。先端部分を掴みながら己の右手の中指にクルクルと被せた。
「マッサージしちゃる。」
ニタリ、と笑みながら銀時は云った。

 ケツに指を突っ込み内部を弄る。んな事、されるのは御免だ、と散々喚いていた土方を何とか宥めすかす。
「チンコ挿れられる訳じゃねーんだしいいじゃん。」
「チンコ云うな…。けどよォ」
「ふつーに、ソープとかでもやって貰えるだろ?された事ねェ?」
「……ねェ。興味もねェ。」
「医者でも此れ、インポ治療でされる事あるらしいぜ?別に変な事じゃねーじゃん。お試しお試し。土方君、チャレンジャーでしょうに。」
「つかよ、俺にばっかやっても楽しくねぇだろうが?」
「楽しいよ~~。いいからいいから、じっとしてなさい。」
「…ッ。」
 宥めながら、土方の足を無理矢理広げ膝を立てさせる。其の間に身体を割り込ませた。其の体勢にすら羞恥を酷く感じるのか、土方の貌が歪む。銀時は土方の其の貌を凝視してしまう。こんな表情だけでも常には見せぬ貌なので、銀時にとっては大ヒットだ。
──エロイ、エロイよ土方君。
思わず鼻を押さえながら横を向く。眉根を寄せる土方。
「…オイ?」
「あー……やっぱお前って、存在自体から反則だわ。」
「は?」
「あ、いやいやいやこっちの話。」
 適当にごまかしながら、ローションを垂らしてベッタベタのドロドロに濡らした土方の後孔を丹念に指で解していく。垂れ下がった袋部分も揉んでやる。
「うぇえ……気持ち悪ッ。」
素直にそう呟く土方。流石に違和感と嫌悪感で一杯らしい。最初はそうだよね最初は、とウクククと内心でほくそ笑む銀時。此の、後孔を弄られる事に対する、最初の抵抗部分を乗り越えれば後はもう楽だ。柔らかく解し、土方の呼吸に合わせてゆっくりと挿入していく。先ずは一本だ。
「はーい、力抜いて下さーい。」
「ウゲェ……。」
本気で厭そうな声を上げている土方。しかし銀時は構いやしない。其の挿入した指が馴染むまでゆっくりとゆっくりと動かす。一旦引き抜き、ローションを垂らしそして再度挿れる。中指先を曲げ、上部の壁を探る。
「オメーも知ってるんだろ?」
「ア?」
探りながら話し掛ける。土方は緩く息をし続けている。下肢部分を見ていられないのか、視線を遠くへ飛ばしている。銀時は、見付けたコリコリとした突起部分に指先を擦り付ける。
「…ッ。」
「前立腺。」

 違和感からか、ほんの一瞬だけ土方が呼吸を乱した。
「男って、慣れてなくても此処でも感じられるんだよ。一応知ってて突っ込んでんだろ?」
「……まァ…。」
勉強熱心な男なのだ。銀時とこういう事態になった際、色々と調べた事だろう。そして結論は、
──突っ込むのはまだ…まだ、まだ、良いがッッ突っ込まれるのだけは勘弁だ!!
だったらしくてそう叫ばれたのだが。…何を使って学習したのやら?簡単に想像できて笑いが込み上げてきたものだ。
 そんな頑なだった土方が、少しばかりでも気持ちを開いてくれて弄らせてくれているのが、銀時にはかなり嬉しい。だが早急に事を進める気は無い。急いては事を仕損じる。そら、早く突っ込みたいけど、さ。ゆっくり、ゆっくりな。
 前立腺の周辺を押しながら刺激を与える。弱く、弱く押す。強くしては駄目だ。軽く、軽く擦る。
「…ヒッ!」
其処で土方が悲鳴の様な声を上げた。刺激が強すぎただろうか?
──ぶっちゃけ、此処を弄られるのは、普通にヤる時の何倍も気持ちが良い。少なくとも銀時はそうだ。飛び上がってしまう程の刺激を感じる。
「…ヤバイ?」
「………気持ち悪ぅううう!!!!」
しかし何とも色気も何も無い声を上げられた。気持ちは判る。普通とは違う感覚と違和感からか、居た堪れなくなるのだ。気持ち良いのか如何かすら最初は判断つきかねる。否。認めたくないのだ、最初は。其れが判っているので、土方の其の反応には軽く笑うだけに留める。
「だよな。でもちょっと我慢しててくれ。」
そう云ってやりながら刺激を与え続ける。嫌悪と違和感で貌を背けている土方。だが、腿が何度もピクリ、と動いている。土方のアレが立ち上がってきて、先端に液が滲んできているのも見えている。息が荒くなっている。判り易い身体だ。反応の良さに気を良くする。其のまま暫く弄り続ける。勃っている陰茎の先端からは、ダラダラと液が漏れてきている。土方の息がかなり荒い。口元を左手の甲で押さえながらそっぽを向き続けている土方。弄る手を止めて其の貌を覗き込んでやる。
「……どう?」
「……………ッ判ら、ねェ。」
戸惑った後告げられた言葉。まァ、本音だろう。気持ち良いが気持ち悪いけど気持ち良いが云々エンドレスエンドレス。そんなとこだろう。しかし最初にしては上出来ではないか。余りしつこくやって、嫌がられても困る。
「でも、そーんな悪くもねーだろ。」
そう云いながら猛った雄を左手で握り込み、イかせてやる為に扱く。
「ハッ……ッ。」
与えられた刺激に身を捩る土方を眺めつつ、雄を扱きながら内部を探りながら、イかせてやった。


 其れからは、粘り強く強請れば指は突っ込ませて貰える様になった。土方がタチ側で銀時を抱いてからしか無理だが。最初にはやらせては貰えない。別に順序等は構わない。しかし土方は、されるのは矢張り厭らしい。以前よりも何度も手酷く銀時を犯す。銀時が満足し足腰立てなくなるまで責め立てようとする。だが、銀時もへこたれない。何度も何度も粘った結果、数回に一回は弄らせてくれる様になる。

 二度目は、人差し指と中指の二本を挿し込んで刺激を与えながら、アレを擦りイかせてやった。一度目よりも反応が良かった。
 三度目は、アレを口で銜えてやった。銜えられ舐められながら内部を弄られる事に酷く興奮したのか、かなりイイ声を上げながら達してくれた。達した後も吸い上げ内部を刺激していると、泣き声じみた声を上げられながら罵倒された。押し退けられかけても止めてやらずに銜え込み弄り続けたら、遂には泣かせてしまった。すすり泣いてても止めずに無理矢理追い上げてイかせてやった。
──悔しげに唇を噛み締めながら涙目で睨み付けられる事に、土方の上気した其の表情に、銀時は滅茶苦茶に興奮した。

 四度目。またさせて、と強請る。土方の揺れる瞳。最初程の抵抗はされない。内心密かに笑う。今日は如何されたい?中を弄りながら擦って欲しいか?其れとも舐められたいか?──其れとも……?
一度、手で擦って出してやる。ビクビクと痙攣している土方の身体。内部には指を深く差し込んだまま、土方の上に覆い被さり耳元で囁いてやる。なァ……と囁く其の声にも震えている。
「挿れてみたいなァ……。」
「……ッ。」
「やっぱ、いや、か…?」
「い、や…っだ!」
「…どうして…?」
「…………ど、しても、……だッ。」
「……そか、なら仕方ねェや。」
チュ、と額に口付ける。指をゆっくりと引き抜いてやる。瞬間、土方から密やかな吐息が漏れた。再度感じ入っていたのだろう。……あー…煽ってくれるじゃねーの。銀時は喉を鳴らした。
 今日は既に三本、入っていたのだ。ローションで濡らしまくって散々嬲った内部はもうドロドロに蕩けていて。己の雄を挿し込めばさぞかし心地良いだろう、と、思う。
 もう、いっそ手荒に組み敷いて、思い切り突っ込んで掻き混ぜてやりたい、そんな獰猛な気持ちが高まる。だが──まだ駄目だ。まだ、駄目だ。コイツはまだ、堕ちてきていない。まだ、我慢だ。震える土方の身体を銀時は抱きしめながら、静かに笑った。


 五度目。同じく強請る。が、銀時の予想に反して今回は突っぱねられた。何故、と問い掛ける銀時。
「此れ以上やりたがんなら、もう二度とSEX自体しねェ。」
「……何故?」
「……嫌なんだよ。」
顰め面だが、何とも微妙な貌でそう呟かれた。其の表情を凝視する。──嫌な気持ちは確かに本心だろう。だが…。だが、ならば其の貌は何なのだ?
 銀時には、土方の其の表情は陵辱を期待し焦がれている様な貌にしか見えないのだ。早く己を暴いて欲しい、早く無理矢理に犯して欲しい。そんな風に見えて仕方が無い。銀時の頭が可笑しいのだろうか。
 どちらにせよ、此処まで来て引き下がる訳にもいかない。銀時は、土方の両肩を掴んだ。胡乱気に眺めてきた土方を無表情面で見ながら、押し倒した。馬乗りになり押さえ込む。無言のまま見下ろす。瞠目して固まっていた土方が睨み返して来た。
「何すんだテメェ…」
「もう此の侭犯そうかな。」
土方の言葉なぞ気にも留めずに銀時はそう呟いた。睨んできていた土方が再度眼を見開く。
「俺のが強いんだし。犯そうと思えば何時だって犯せたんだよな。でも結構我慢してやってたのにな。」
「……ッ。」

 冗談半分本気半分の呟き。土方は激昂するだろうか、と思っていたのだが。だが怒るだろうと思っていた土方の様子が、明らかに変わった。眼を見開いたまま固まっている。頬にそっと触れてみると、思い切り撥ね退けられた。撥ね退けた土方の其の手が、微かに震えている。
……怯えている?あの土方がか?銀時は驚く。怯えた己を恥じるかの様に、土方の貌が歪んだ。
「……オイ?」
「……止め、ろや。」
強張った腕で身体を押される。
「……冗談だよ。」
「…………。」
「…………土方?」
「わりィ……。」
「や、俺が悪かった。」

 そう云いながら身を離してやる。ボリボリと髪を掻く。よもや、此処まで抵抗が激しいとは思わなかった。怯えられるとは思わなかった。土方もノロノロと上体を起こしている。暫く無言の状態が続いたが、再度口を開いたのは意外や土方の方だった。
「昔……。」
「……?」
土方は其処で再び口を閉ざしたが、無言のまま続きを待ってやる。

「奉公先で、乱暴されそうになって」
「……。」
「ガキだったから何が起こったか判らなかった。突き飛ばして必死に逃げ出して、逃げて逃げて。そん時の記憶が残ってんのか…………未だ、怖いんだわ。本気で駄目だ、って思っちまう。お前となら、いけるかも、とは、思ったんだ、が。」
「……悪かった。」
「……いや。」
「けどな。……やっぱ抱きたいんだ。」
「……。」
「俺も、お前を。お前が抱いてくれる様に。お前が俺に欲情してくれるのと同じ様に、俺もお前に欲情してるんだ。」
「……。」
「……抱きたいんだ。」
「……。」
「乱暴したい訳じゃねェ。テメェの事、気に入って、っから」
「……。」
「……抱きたいんだ。」
「……怖いんだよ…。」
 だが、ボソリと再度告げられた言葉。プライドの高い此の男が、「怖い」と素直に述べるのは相当の事だ。とすると、余程本気で恐ろしいのだろう。銀時も譲れない。譲れないのだ、が。……もう諦めるしかないだろうか。本気の無理強いはするつもりは更々無いのだ。しかし、判った、もうしない、と告げようとした時。

「……テメェにならされても構わないって思っちまう自分が、怖ェ……。」
「……ぇ?」
「……。」
其のまま沈黙された。思考が止まっている銀時。だが、其の言葉が脳内に届いた瞬間、再度思い切り土方を押し倒した。
「…ッ。」
「抱かせて。」
「……ッ。」
「お願い。ほんとに嫌だったら、やらない。指だけでもまたいいから。」
「……。」
「お願い。」
悩みに悩みまくっている様子の土方に強請り続ける。戸惑いの後に、土方は告げる。
「……………一回だけなら。」
「……マジ?」
「痛かったら其れっきりだかんな!!」
「……うん。ありがと。」
──してやったり。痛くなかったら何度もしてもいいのかな?とかとか思うが、云ってはやらない。土方に擦り寄りながら、銀時は内心でほくそ笑んだ。

 だが。そう云いながらも土方の抵抗は酷かった。ヤらせてくれるどころか、指すらも挿れさせてくれない。何とも強情な男なのだ。恐らく、此の侭流されたら最後である、と土方自身判っているのだろう。其れにしても物凄い抵抗だ。此れはもうプロレスか?どたばたと組み合いながら、銀時は叫んでいた。
「何で嫌がるぅうう!!!」
「嫌がるに決まってんだろうがぁああ!!!」
「俺のチンコはお前のケツにまだインサートされてません!俺のチンコはお前のケツにまだインサートされてません!」
「二回云うなや。二回云うなや!」
「大事な事なので二回云いました!!!」
「煩ェよ!やっぱ無理無理。挿れられるなんてイヤですぅ~。」
「ちょ、おまっ男の約束を反故するつもりか!?さっきの言葉は嘘なのか!?お前は其れでも侍か!?」
「あーあーあーあー、耳の調子が悪ィな、なーんか聞こえ難いわ。其れでも僕は侍でぇ~す。」
「キー!!」
己の耳の孔を掻きながら、完全に莫迦にしくさった面を銀時に向けている土方。此れではもう、今日は無理であろうか。銀時は項垂れる。
「土方君は何時になったら俺に股を開いてくれるんでしょうか。」
「卑猥な云い方してるんじゃねェ!!」
「あーあーもう犯そっかな~犯しちゃおうかな~。」
銀時は苛々し始めていた。此れだけ、この銀さんが尽くしているのに拒むとは不逞野郎だ、とプッツンしかけていた。
「そういう事はしねェって云っただろうが…。」
土方にボソリと云われて押し黙ってしまう。
「……しねェよ。」
「……。」
「ヤらせてよ。ねェ……。」
 最後のお強請りだ。半分位は泣き声でそう呟く。
──力で組み敷く事も、痛みで屈服させる事も、此の男相手では効果が薄い。そんな事をしても此の男は手に入らない。此の男が弱いのは、泣き落としと快楽だ。泣いて甘えて散々快楽を与えて堕とす、其れが一番効果的だ。
 だが此れで無理なら、今日はもう諦めよう。そう銀時は判断した。土方は銀時をじっと眺めてきていた。そして、大きな溜息を吐く。
「……判ったよ。」
そう云いながら銀時に口付けてきた。今度こそ逃さぬ、とばかりに銀時は土方を組み敷いた。


 絡み合う肢体同士。土方の全身に愛撫を施し、後孔も散々解してやった。しかし、一度も精を吐き出させてはやっていない。僅かばかりに身を離し、しどけなく横たわる土方の身体を眺める。己の完全に勃ちあがった雄に手早くゴムを被せる。そして土方の両足の間に身を潜り込ませた。膝裏に手を掛け持ち上げる。土方からの抵抗はもう無い。だが貌は羞恥からか快楽からか歪んでいる。其れに煽られる。戯れに猛った自身同士を擦り合わせてみる。ヒクリ、と揺れた身体。両足を折り曲げさせて伸し掛かる正常位の体勢を取って、逃げる様な動きをする土方の両足を掴み、留めさせる。

「…やっぱ、駄目か?イヤ、か?」
「…ッ」
 土方からは応えが無い。答えられないのか、未だ拒む気なのか。…否、迷っているのだ、極限迄。崖っぷちで、飛び込もうか否か迷っている自殺志願者の様な心地なのだ。土方にしては其れ位の切羽詰った状況なのだ。ならば俺は背中をそっと押してやろう。静かに、優しく、そして残酷に。
銀時は静かに笑う。
「挿れられたいだろ?ほら、俺の此れ…」
そう云って、銀時は己の猛った雄に土方の手を導いて触れさせる。灼熱に触れたかの様に、土方は震える。まるで生娘の様な其の反応が、可笑しくも愛しい。
「此れ、挿れたらもっとイイぜ…?さっきも、痛くなんか無かったんだろ…?」
 散々弄ってやったのだ。今まで散々。受け入れさせる為に快楽を与え、肉を解し。頑なに拒否する心すらも溶かして解そうと、散々努力してきたのだ。そろそろ報われてもいいだろう?
 未だ、首を微かに振る土方。だが抵抗は弱まっている。

 ──後は、土方からも求めさせるだけだ。
 土方自身も観念しているのだから、もう挿入しても構わないのだが。だがしかし、銀時から強引に挿れたりなぞしたら、土方は今後も己から求めてくる事は無いかもしれない。──銀時が、あの時無理矢理強要した、だから仕方ないから今後もヤってやる──そういう事すら云いかねない。
 そういう男なのだ。狡い男なのだ。王様気質なのだ。…どちらかと云えば、女王気質か?
 己が常に主導権を握って居たい男なのだ。男としての矜持が捨てきれぬ男なのだ。
 其れを咎める気は更々ない。銀時もそうなのだから。唯、捨てぬ矜持の部分が異なるだけ。下になっていたとはいえ、主導権を明け渡していたつもりもない。支配されていたつもりもない。男を捨てていたつもりもない。今も、昔も。如何様な立場に立とうと、如何様な扱いをされようとも、銀時は銀時だ。其れは今も昔も此れからも代わり様が無い。
 本当は、「仕方なくネコもやってやる。」土方の考えが此れならば、別に構わないのだ。銀時が好きにするだけ、なのだから。だが折角此れだけ努力してきたのだから、土方からも溺れさせたいではないか。
生け捕った小鳥を前に舌舐めずりをする猫の様に、銀時は今か今かと、時を待っている。──銀時は相当に狡猾だ。

「もう我慢出来ねェよ……挿れさせて?ねェ…。」
銀時は欲望を、土方の後ろに擦り付ける。ぬるり…と先端が沈んだ。沈んで、引き抜いた。絡み付いてきた肉。其の柔らかさに興奮し、目の前がチカチカする。何度も擦り付け続ける。
「ァ…ぅ…ッ」
土方の揺れる瞳。濡れ光っている黒曜。綺麗な黒曜。綺麗だ、綺麗だ。銀時の色の薄い瞳とは異なる、深淵が覗える。銀時は其の瞳を覗き込む。
──お前は今何を見ている?何を、見ている?俺を見ているか?…俺だけを見ているか?そう、今だけでも、俺だけを見ていろ。
逡巡でゆらゆらと揺れている瞳。もう少し、もう少しだ。
「……駄目…?…いい、んだろ?」
銀時自身も限界だ。最早堪え切れない。挿れたくて堪らない早く、早く…。

 ……微かに動いた、土方の首。上下に、小さく。──同意。
 瞬間、思い切り最奥迄を挿し貫いた。甲高く上がる悲鳴。嗚呼、此れがあの男の声か?常に低く耳に響く、あの声と同じなのか?酷く興奮する。土方のひくつく肢体。だが容赦などもうしない。暴れ逃げ様とする土方を押さえ込んで、挿し貫いて直ぐに抜き出し、また挿した。その度に上がる嬌声。
「アッアァ…ッて、テ…ッテメ…ァア…!!」
土方の濡れた瞳からはボロボロと涙迄もが落ちてきている。…痛いのか?違うだろ?気持ちイイんだよな?ヤバイんだろ?ヤバ過ぎて混乱してるんだろ?此れ程迄とは思っていなかったって貌だな?イイ貌だ、イイ貌だ。とても…イイ貌だ。もっと晒せよ。もっと、もっともっと俺に晒せ。

「……ほら…痛くねーだろ…?」
「ァ…ンン……。」
緩やかに腰を動かし、額に唇を落としながらそう囁きかけてやったら、小さく頷きが返って来た。
「気持ち良い……?」
「……ッ」
「気持ち、良い……?」
「……聞く、な……。」
 貌を朱に染めながらそう云われ、そして思い切り背けられた。其の反応に微かに笑う。あれだけ慣らしてやったんだから、気持ち良いよな?そりゃそうだ。……癖になれ、癖に。善すぎて莫迦になっちゃえばいい。俺を求めて求めて、もう俺に抱かれたくて俺を抱きたくて、堪らないって云えばいい。ぐちゃぐちゃにされたいって懇願すればいい。そうすれば、滅茶苦茶にぐちゃぐちゃにしてやるから。もう莫迦になっちゃえばいいんだ。俺に溺れろ、ずっと、ずーっと。

 しっかし、此れ、は…。
銀時は、自分が持っていかれそうになった。ぶっちゃけ、イきそうになった。余裕を持っていた筈なのに。此れは、余りにも。………具合が、いい。
「ハ…っやっぱお前、こっちの素質あるわ……。」
「な、に、が……ッ」
「ネコの、素質。やっべ、締まる……。」
「ぬ、か…せ…っァ…ハッ…」

 常日頃己の上で、己を喘がせ貫き、己を溺れさせている男が、今現在己に貫かれて啼いている。此れ程の興奮があるだろうか。銀時はかつて無い程に猛っている。
 上になった時の土方は余裕ぶる。獣の匂いをプンプンさせているのに、其れを隠そうと躍起になっている。皮肉気に態と笑いながら己を甚振る。時には乱暴な振る舞いをする。其れも確かに彼の姿なのだろう。そんな獣も確かに、土方の一面なのだ。だが。
──本当は余裕が無い癖に。本当はもっともっと求めたい癖に。
 ──そんな男を散々貫き散々喘がせている。……此れ程の悦楽があるだろうか?もう本当に鼻血が出そうだ。気持ち良過ぎて此の侭ぷっつんイってしまいそうだ。
 銀時は気持ちよければ喘ぐ。今も喘いでいる。上になっても身体に余裕は無い。快楽に溺れるのは結局は同じだと思っている。気持ちイイものは気持ちイイ。相手に、快楽に溺れる自分の醜い姿も貪欲な自分も見て欲しい。そんな己も愛して欲しい。
 銀時は土方程臆病では無い。乱れる己を見せるのを厭う気持ちは判る。だが、銀時は。曝け出した己自身も愛して貰いたいだけだ。……曝け出す相手は選ぶが。土方には見て欲しいと思ったのだ、どんな己であろうとも。

「ア…アァ!!」
 程なく吐き出す欲望の色も二人、同じだ。白い液体。混ざり合ったとしても何も産み出しはしないのが少し、哀しい。
──お前に、もっと刻み付けたいよ。…俺を。
 土方の上で小さくそう呟いたら、重い、退け、と頭を殴られた。相変わらず余韻のへったくれもない。拗ねながら身を離す。

「あーーー……あんだ此れ……ケツが、ケツが……。」
半眼で呟く土方。腰を押さえながら唸っている。なんだ此の生き物は。今まで散々喘いでいた男と同一とは思えない。笑ってしまう。
「ひーじかーたくーん、先生、ちょっとは色気というモンが欲しいでェす。」
「ンなもん端から求めるなって云ってんだろうが。」
「さっきまではあんなに可愛かったのに……へぶっ」
思い切り殴られた。手加減無しに殴られた。い、痛い。ちょっとかなり痛い。乙女座りでしくしく泣き真似をする。けれど、指の隙間からちらり、と覗く。煙草を銜えた顰め面の男。だが、不機嫌そうな訳じゃない。おずおずと近寄る。身を寄せる。貌を覗き込む。土方の顰め面が尚深まる。気にせず問い掛ける。

「……善かった、ろ?」
「……。」
「散々啼いてたじゃん。」
「…云うな。」
「……またしような?」
「……ッ」
「……な?」
「……………クソッ」
 耳まで紅潮している土方。捻くれ者の此の男の、ほぼ肯定の意だ。してやったり、と、うくくく、と笑う。可愛い可愛い俺のダーリンハニー。此れからももっともっと可愛がってやるよ。んで、俺の事も可愛がっておくれ。お前の思うが侭に踊ってやるよ。一杯一杯、愛し合おう。
 笑いながら土方の肢体を柔らかく抱き締めた。土方は一瞬驚いた様だが、微かに笑みを零して抱き締め返してきた。
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