「枳(からたち)」……SSブログサイト。(銀魂中心。他雑多。只今ヘタリアとかBASARAとかも。)

02 「俺に構うなよ。」 


 俺の周囲には、俺には理解出来ねェヤツラが居る。心底理解出来ねェヤツラが居る。本能と欲望の赴くままに生きてそうなヤツラだ。其の中の筆頭ともいえるヤツが、今目前に居る。逢う度何故か突っ掛かる。貶し合う。莫迦にし合う、銀色の男。
 なのに、何故か俺に構ってくる。奇妙な事迄云ってくる。妙な行動をしてくる。全く如何にも理解が出来ねェ、判らねェ相手だ。追えば逃げる。逃げれば追ってくる。突き放してものらりくらりと避けられる。避けていたかと思えばフラフラと寄ってくる。意味不明だ。振り回されてばかりで腹が立って仕方無ェ。なのに、何で考えちまうんだ、畜生。
 本当に何で俺なんかと──混乱。虚栄が崩される──危険。警鐘が鳴り響く。

 ──嫌いでは無い、相手だ。寧ろ気になる気にしてしまう。話していても立腹する事ばかりだが、何故か最後には許してしまう。癪な事だが、俺は如何にもコイツに弱ェらしい。
 コイツは理解出来ねェ事ばかりを仕掛けてくる。俺を触って何が楽しい。俺に何をしようとしてんだ。何がしてェんだ。SEXとかもしてみたいと、云われても素直に応じられる訳が無ェのに。男なんざと寝る気はねェ。されるのなんざ慣れてねェし、そもそも突っ込まれる気も更々無ェんだ。

 …だが、甘えられると困惑する。優しくされると揺らいでしまう。勢いのままに流されちまいそうな自分も居る。そんな己が、恐い。何時か流されちまいそうで、何時か其れが心地良くなっちまいそうで。そして、心の何処かで流されちまう事を期待している自分も居る。
 だが俺はそんな自分を認める訳にはいかない。──弱さを見せる訳にはいかない。受け入れる訳にはいかない。俺は弱くは無い。けれど其れ程強くも無い。デカイ包容力が有る様な、ンな、大層な人間じゃない。…だから俺に構うなよ。構うンじゃ、ねェよ。

 常に脆い虚勢を張り続けている。繕った綻びだらけの虚栄心を破られぬ様に壁を作っている。其の壁を破られぬ様、慣れぬ羞恥や痛みや与えられる快楽よりも、慣れた征服欲と雄の欲望に身を委ねる。
 煽られた欲望のままに相手を組み敷く。獰猛な獣の様に、狂暴な雄の様に相手に噛み付く。──…一層此のまま喰らい尽くしてやろうか。野蛮な獣がそう囁く。二度と、俺の内側に入り込めない様に。土足で踏み荒らされ無い様に。──喰らってやろうか。

 相手の喉から零れ出す抑えた喘ぎに酷く揺さぶられる。慾が煽られる。己の中に潜む獣が目を醒ます。押さえ込んでいる欲望が、目を醒ます。熱く屹立する。
 だが此れ以上は煽らないでくれ。止められなくなる、止まらなくなる──警告。
 止まらなくなった俺の獣が、暴走する。止めろ、本当に──最終通告。
 あァ…けどもう良いもう遅ェ。もう止められねェ。
 ──怨むなら、俺を煽ったテメーを怨みな。
 其の時初めて、己の口元に歪んだ笑みが浮かんでいた事に気付いた。

「オメーは二面性が有り過ぎんだよ。」
 事が終わった後にそう云われた。そういえば此れは総悟にも以前云われた言葉だ。だが自分では判らねェ。二面性?如何様な俺も俺なんだよ。俺じゃねェなら何なんだ。人間なんざ、多面性有って然るべき、だろうが。俺は──虚栄心の塊を喉奥で噛み殺し続けている、酷く臆病なただの男だ。自分の中の獣の存在に怯えている、其れに引き摺られる事に畏怖している、ただの弱い男だ。
 俺はただ、其れだけの男でしか、無い。

「…何時か、此のまま抑えが効かなくなったら、如何してくれんだ。」
思わず零れた弱音。そう小さく呟いた声を聞かれたらしい。すると相手は、
「俺はオメーよりも強い。オメー程度幾らでも御してやるよ。」
そうのほほんと笑いながら云った。俺は其れを聞いて瞬間呆気に取られた。だが呆れるよりも、怒るよりも先に笑ってしまった。そして、安堵の溜息が己の唇から漏れ落ちた。
 ──コイツになら、平気だろうか。ひた隠し続けている弱さを見せても。目を逸らし続けている獣を曝しても。
笑いながら泣きながらヤツの胸元に額を押し当てた。コツリ、と。もしかすると甘える様な仕草に見えるだろうか。俺からの其の様な行為に、ヤツは酷く驚いたみたいだったが、ザマーミロ。
 ──小さく呟いた礼の言葉は相手には届かなかっただろう。
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