「枳(からたち)」……SSブログサイト。(銀魂中心。他雑多。只今ヘタリアとかBASARAとかも。)

16 捕食する 


 ──…噛み千切りてェ…。
女を抱くと、何時も思う。其の柔肌を噛み千切りたい。其の肢体を抱き潰してみたい、と。
 柔らかな肌、薄い皮膚、甘い匂い。──部屋や着物に焚き染められた香の芳香と、男を誘う性臭が入り交ざった、淫靡な匂い。其の匂いをもっと深く吸い込もうと女の首筋に鼻面を埋める。力を込めれば直ぐにでも折れてしまいそうな、細首だ。其の首筋にやわりと歯を立てる。女の喉から細い声が漏れた。甘く噛み締めながら、女のぬかるみに突き立てた雄を緩やかに抜き差しする。ヌチャヌチャと粘液質の音が耳朶を打つ。戯れにぐっと奥まで突き立てると、女が高く声を上げた。

 女が感じているか如何かは関係無い。土方は唯、自分の快楽だけを追う。所詮金で買い抱いている女だ。そんな女達は、素人とは違い男を悦ばせるツボも心得ているが、彼女達とて抱かれる度に気をやってしまっては身ももつまい。女の痴態が演技か否か迄は男には到底判らぬが、例え演技だとしても煽られるのは事実だ。いじらしい、とまで思う。例え商売だとしても。否。商売だからこそ、か。
 女の肉を欲するのは男の根源的欲求だ。そうでなければ、此の様な商売も成り立たない。商売女を見下げる風習は何時の世も有るが、土方は強かに生きる彼女達が案外嫌いではなかった。

 だが。今日はそんな女の痴態がやけに鼻についた。己自身も快楽を感じている筈なのに、思考は冷めてきている。性行為を長引かせるのにも嫌気が差し始め、緩く抜き差ししていた雄の動きを射精に向けて荒くした。汗が滴り落ちる。

 ──思えば性交とは恐ろしい行為ではないだろうか。女側からすると、己の身の内に異物を突っ込まれ掻き回されるのだろうから。内臓を引っ掻き回される感覚だろうか。…ぞっとする。其の様な、ぞっとする行為を女に施しながらも、土方の脳裏では妙な思考が生まれていた。
 此の様な行為で女は何故快楽を感じるのだろうか。しかもこんな、足を広げ蛙の様に潰れた姿を取らされてまで。
 男に翻弄され、暴かれる本性。他者に蹂躙される身体と心。…そんな自分を無様だとは思わないのだろうか。恐ろしくは無いのだろうか。男である土方には到底理解は出来ない。
 …女は、肉体の作りからして、受身側の性であるのだから、また違う心持ちで受け入れられるのだろうか。組み敷かれる事もまた、悦びなのだろうか。……土方には矢張り、理解は出来ない。

 ──何故だか酷く、苛立ちが募った。荒くした腰の動きを更に手荒にする。汗ばんだ手で乳房を強く掴む。流石に辛いのか女が苦しげな声を上げている。が、止める気にもならず、其のまま追い上げ精を吐き出した。直ぐ様ぬかるみから雄を引き抜き、避妊具を始末した。

 果たして。苛立ちを感じたのは何に対してか。女に対してなのか、己自身に対してか。だが射精を終えると一先ず如何でも良くなった。自分自身でも勝手なものだ、そう思いながらも手早く帰り支度をする。何時もならば湯を浴びて寛いでから帰る土方なのだが、湯を使うのも今日は面倒に感じた。

 何か気に障ったのだろうか、とでも目だけで訴えてくる女にふと気付き、微かに笑い掛け頭を撫でてやる。賢い女だ。妙な詮索も勘繰りもしてくる事は無い。己の多少気難しいであろう気性も心得ている。今一番の気に入りの女だ。きっとまた、抱くだろう。
「……また来る。」
そう云うと余韻も何も残す事も無く、土方は立ち上がった。

 外に出て後、己の身体に濃厚にこびり付く女の匂いに煩わしさを覚える。矢張り(やはり)、湯を借りて帰るべきだったか、と少しばかり後悔しつつ煙草を銜え、火を点す。煙草の匂いで掻き消えるものでも無いが。
 ──微かな苛立ちは未だ続いていた。其の原因が何かが掴めず、土方の眉根に深い皺が寄った。外は夕暮れ時。酒でも飲んで帰るか、と、思った。


 ──此れは至極偶然。だが偶然が重なり合う奇妙な縁だ。些かうんざりした。
 土方が馴染みの居酒屋に行くと、其処には銀の男が既に居た。しかも土方が何時も座る席の隣でチビリチビリと酒を飲んでいる。互いに目が合うと、双方同時に
「げ。」
と言葉を吐いてしまった。同時に言葉を発した後、同時に貌を顰めた。そして同時に声を掛けた。
「「テメェ、なんで此処に居やがる。」」

 其の一連の流れを全て同じタイミングで行動してしまった後、再び同時に貌を歪め、此れまた同時にそっぽを向いた。
何だ俺らは双子か何かか。おすぎとピーコか。ザ・タッチか。嗚呼、苛々してマトモな双子の名前すら出て来ない、色物系ばっかじゃねェか。土方は内心己にツッコミをする。

 ──…気が合う、だなんて死んでも思いたくはねェ。
 土方は苛立ちが更に強まったのを感じた。多分、銀髪の男も同様に思っているだろう。
反発し反目し合っているが、抱き合ってもいる仲だ。寝ている仲だ。SEXしている仲だ。あんな貌もそんな貌もあられもない場所すら見ているし見られているし触っているし触られているし舐めてもい…。…此れ以上はもう良いだろう。まぁ、そんな、仲だ。
 土方としては、こんな事認めたくも無いし、さっさと関係を清算して記憶すら失えるものなら今すぐにでも失いたい位だが。だが、今現在は紛う事無く、そんな爛れた仲の二人だ。
 だが普段は、顔を見合わせたいとも思わない。逢えば口喧嘩、口論ばかりなのだ。時には暴力沙汰にすらなる。共に居ても気疲れするばかりだ。以前程は煙たい野郎だ、とは思わなくはなったが、逢いたい、と思える程の相手でも無い。
──肉欲を感じれば互いを貪り合う。唯其れだけの仲だ。少なくとも土方はそう思っている。

 互いに互いを無視しながらも、土方は迷った挙句、銀時の隣の席──普段の自分の定位置に座った。銀時の為に己が他の席に座る事などあって堪るか、との心地である。酒を冷で二合と適当なつまみを頼み、フ…と息を吐いた。休みの日に迄精神的に疲れる事はしたくないものだ。こうなれば徹底的に存在自体を無視だ無視。絶対に出来もしない事を土方は決意した。
 無視したければ、隣に座らなければ良い話。寧ろ店を変えれば良い、其れだけの話だ。だが土方はしなかった。という事はつまり。……土方自身でも判っているのだが、此れもまた、認めたくない事だ。
 銀時はというと、土方の方へと視線を戻していた。確実に、「何で隣に座る」だの「あっち行け」だの文句を云われるかと思ったのだが、意外や何も云わずに見詰めてきた。見詰められるだけでなく、身を寄せられ首筋辺りの匂いをクン、と嗅がれて呆気に取られた。お前は犬か。

「うわ、お前…酷い匂いだな。」
そう云われて、銀時の其の行為の意味に漸く気付く。嗚呼、そういえばそうだった。
煙草と女と香の匂い。今から其れらに酒の匂いも加わる予定だ。確かに酷いものだろう。だが土方は目を細めつつ鼻で笑った。
「テメェの糖分臭さよりはマシだ。」
売り言葉に買い言葉の気持ちで云ったのだが、此れにも銀時は反応を返してこなかった。身を寄せられた姿勢のまま、感情の見えぬ腐った目で眺めてくる。其の居心地の悪さに、若干身を引いた。
「あんだよ……。」
「うーや?別に?」
「ならウザイから離れろ。」

 先程迄ならば苛立ちの余り手が出ていたかもしれない。が、何故だか苛立ちは唐突に納まっていた。反面、やけにソワソワと落ち着かない心地となった。何故だろうか。銀時の行動が普段と若干異なっているせい、だと、思いたい。
 離れろ、と云っても未だ離れぬ相手。眉根を寄せながら睨み付ける。だが睨み付けたのに、笑い掛けられた。ニヤニヤとした嫌な笑いだ。
「…何か凄くエロイ匂い。」
そう云われ、チュ、と首筋を吸われた。思わぬ行為に瞠目し硬直する。店内にはまばらながら人も居る。人前で何を、とばかりに動揺しまくり、首筋を押さえ更に睨む。だが銀時は其れ以上は気が削げたのか、身を離した。元の腐った目をした男へと戻った。
 其の後は普通にくだらない話をし合い、けなし合い、時は過ぎた。
──土方の中には動揺が残ったままではあったが。

 何の因果か。如何いった話の流れか。居酒屋を出た後、土方は銀時と共に万事屋へ赴いていた。銀時曰く、本日はガキ共は外泊して居ないらしい。うちに来いよ、と誘ってきた銀時の言葉には、無言のまま万事屋方面への道へと歩き出す事で答えた。銀時は直ぐに追い付いてきて肩を並べて歩き出す。隣を歩く銀時をチラリ、と横目で見た。
 思えば。本当に対等の「人間関係」というものは、土方にとっては初めてかもしれない。近藤や沖田も対等の友人同士で有る筈だが、仕事柄の役職においては上下が出来てしまっている。近藤は上司で有るし、沖田は部下だ。土方は役職の順列には非常に煩い自覚は有るので、日常的には対等と雖も、仕事に関しては序列を考えて行動する。なので、近藤の上下を意識しない行動には常に頭を痛めている。あの沖田ですら、関係無しに行動しているようであって、要所要所では上を立てて行動している。…筈だ。
 其れを思うと、銀時との関係は初めての経験ばかりだ。……確かに男と寝るなんざ、最初で最後だとも思いたいが。だが其れだけでは無く。
 社会的な上下関係も無い、肉体関係を結んでいる以上の利害関係が有る訳でも無い。寧ろ土方的にはデメリットの方が多い、と思う程であるのに。何故こうして共に歩いているのかすら判らない。唯の腐れ縁の様な犬猿の仲の様な。
 ──そんな関係を、土方は今迄築いた経験が無かった。

 部屋に入った途端、土方はソファーの上に押し倒された。肌と擦れ合った安物の合皮レザーがギチリ、と音を立てる。今日も爛れた事をしてしまうかもしれない、とは薄々思ってはいた。が、流石に余りにも唐突であった為、驚いた。銀時の身体を押して抵抗する。

「ちょ…おま…っいきなり過ぎんだよっ!」
今更、「嫌だ」とか「此処じゃ駄目☆」だとか云う程初心(ウブ)でも無い。だが其れにしても唐突過ぎる。其れに抱かれる側に回されるのは、押し倒される側は矢張り不得手だ。だが銀時は聞く耳も持たない。
「だってお前…今日、物凄くイヤラシイ……ヤラシイヤラシイ。」
「はぁ!?」
銀時の言葉の意味が掴めず、土方は固まった。固まった隙を突かれて、抱き込まれた。もう一度首筋に貌を寄せられる。
「あんなエロイ匂いプンプンさせたまま寄ってくるなんて、煽ってんの?誘ってんの?」
「ハァアア!!??」
「あァ、お前もそんな物欲しそうな面してんなよ。」
「意味判んねーよ!!」

土方は本気で絶叫した。今日は非番で、爛れた事に昼日中からSEXして欲望を発散して、酒も飲んで、と、何も文句の無い一日だった筈だ。銀時に逢ってしまった以外は。満足のいく一日だった。銀時に逢ってしまった以外は。……其の筈だ。なので、

「盛ってくるんじゃねェ!!」
そう叫んだ。だが銀時は静かに眺めてくる。
「……って、もしかして…無自覚?」
「いやだから……ッ。」
 言葉半ばで、着流しの襟ぐりを引っ張られた。露出した肌に手を這わされる。其の感触にゾワリ、と総毛だった。嫌悪からでは無いのが、かなり悔しい。悔しさを感じながらも、抱き締めてくる銀時の頭部を拳骨で殴る。アダッ、との言葉は聞えたがだが離れようとはしない。

「なぁ。何でそんなに嫌がんだよ。何回ももうヤってんだろぉ?」
「そういう問題かよ…。」
「何?」
「だ、から、俺ァ男だっての。こういうのは…ッ」
「男だから、何?」
押し問答だ。ソファーに押し倒された姿勢で見上げながら、土方は頭痛を感じ始めていた。
「あのなぁ。そもそも俺は今日はなァ…ッ」
女ともSEXしてきたのだから、飢えてはいない。受身になる気も無い、と。だが云い掛けた土方の言葉を、銀時は不意に口付けする事で止めた。土方は目を見開く。口付けはほんの一瞬で直ぐに離れたが。銀時は、土方を感情の窺えぬ瞳で見下ろしながら、ゆるりと言葉を発した。

「お前って、女が羨ましいのか?」
「…は?」
いきなり何を云うのか、と土方は固まった。銀時は気にせず続ける。
「やけに何時も男だって事に拘ってるから。素直に抱かれる事が出来る、其れで満足出来る、女が羨ましいのかね、と思ってよ。」
「何云ってやがる…。」
唖然とした。胸糞が悪くなった。莫迦にしているのか、と怒鳴りつけたくなった。だが、土方の思考に混乱が走った。──俺が?女に?……いや莫迦な。
 其の一瞬の躊躇を目の前の男は見逃さなかった。土方を組み敷きながらイヤラシク笑った其の表情から、土方は目が離せなくなった。
「抱かれておけばいいじゃん。」
「…ッ」
「女みてェに。テメェが抱いてきた、女みてェに。」

本音は抱かれてェんだろ?
突っ込むだけじゃ、もう我慢出来ねェんだろ…?
女抱いても、物足りなかったんだろ…?

だから、俺んとこにもこんなに素直に来たんだろ…?

 揶揄る様に耳元で囁かれ、序(ついで)とばかりに耳朶を舐められ、自分が一瞬にして目許迄も朱に染まったのを感じた。呆れと怒りと羞恥。其の全てが混ざった勢いのまま右拳を振り被る。だが銀時の頬を殴り飛ばす寸前に、其の拳は銀時の掌で受け止められた。
「て、テメ…ェ……ッ!」
感情が過ぎ過ぎて、言葉にならない。酸素が上手く取り入れられない。酸欠で喘ぎそうだ。──囁かれた言葉に、酷く混乱している。そんな事は無い、とも否定が出来ずに困惑し、精神の均衡が崩れている。
 土方は唇を唯震わせ、怒りやら羞恥やら戸惑いやら何やら、色んな感情を抱えつつも睨み付け様とした。だが銀時に握り込まれた己の拳が、ミシミシと音を立てそうな程更に強く握られ、其の痛みに顔を歪めた。体勢も分が悪い。暫く力比べをしていたが、力負けしソファーに拳が押し付けられた。
 舌打ちをしながら、至近距離に有る銀時の顔を今度こそ睨もうとする。が、酷く情けない面にしかならなかったのを自覚した。──此れは、拙い。マズイ、マズイ。
 暫し歯をギリギリ噛み締めていたが、遂に横を向き視線を逸らしてしまう。真っ赤だ。屹度(きっと)貌も真っ赤に違いない。だが今更如何しようも無い。銀時が微かに笑う気配を感じる。畜生、ぶっ飛ばしたい。

 ──……抱かれたい。
図星だった。土方自身も思いたくもなかった。気付きたくも無かった。女だけでは満足出来なかったのか。銀時の肉を欲していた。まさか其のせいで苛立っていたのだろうか。そして銀時に出会って苛立ちが治まったのも……。──暴かれた欲望の余りの恥ずかしさに、身悶えそうだ。
しかも其の欲望すら自ら知るのではなく、よりにもよって銀時の言葉によって自覚した。
自覚したら羞恥の余り消えたくなった。

「…俺を女扱いする気か…女みてェだと、テメェ莫迦にしてんのか…。」
もう半ば諦めた心地で低く低く、唸るように告げたら、銀時は目を瞬かせた後笑いながら云った。
「違う違う。男だから嫌だーって云うのなら、勿体無ェな、とさ。男で抱かれても良いじゃん?何で駄目なの?」
「……其れは……。」

 いざ面と向かって問い掛けられると、言葉が出なくなった。嫌なものは嫌だ。其れは感覚的な本能的なものだろうか。そもそも、自然の摂理的に同性同士の行為など曲がっているのではないか。オカシイではないか。狂っているではないか。……否。……オカシイ?狂っている?……そうなのだろうか。混乱が走る。…其れ以前に、己は元から正常なのか?

「そもそも。テメェを女扱いなんか誰がするかよ。」
気持ち悪ィ、そうも吐き捨てられた。其の云い方も如何なんだオイ、と内心ツッコミながらも沈黙を続ける。
「俺は唯、テメェが素直になればもっと楽になるんじゃねぇのかなーっと思っただけでして。」
「……。」
「んでも、素直じゃないテメェも其れは其れでいいんだけどな…っつか其の方が俺的には煽られて燃え…イデデデデッ」
黙り込みながらも、握り込まれていない方の手指を伸ばし、銀時の耳を抓り上げた。コイツの言動には如何にもムカついて仕方が無い。

「ほんっとぶっとば……ッァ…ッ」
文句を云い掛けた、ら。着流しと下着を掻き分け滑り込んできていた銀時の手に、唐突に雄を握り込まれて、甘い声が出た。慌てて口を噤む。指でなぞられたヌルリとした感触に、己が既に昂ぶっていた事に気付きまたもや混乱する。だが意に反して強請る様に腰は揺れる。もっと、もっとと。
「お前って、身体は正直だよなァ…。」
そうからかわれながらヌルヌルと掻かれる。背筋に快感が走る。足先が突っ張る。声すら再度漏れそうになって唇を噛む。

 節くれ立った武骨な指に荒く掻かれているだけなのに。ざらついた手に撫でられている為、痛みも時折感じるというのに。
──女の陰部に突っ込んだ時以上の此の興奮と快楽は、有り得ない。有り得ないだろ、オイ。
 一気に追い上げられそうになって土方は慌てた。慌てて、止めさせようと銀時の身体を押した。が、銀時はニヤリと笑ったまま其のまま擦り続ける。
「う、ウソ……ァ…ちょ…ヤベ…ッアッ」
 土方はもう自分の反応が信じられない。嘘、嘘、と呟きながら昂ぶらされる。マズイ此のままだと出ちまう、と身を強張らせた瞬間、手は離れた。
「ぇ…ァ……ハッ…ん」
と、思ったら其の手指が己の後ろに触れ、其のまま早急に指を突っ込まれる。掻き混ぜられる。そんな手荒な扱いにも、痛みを感じても、甘い声が漏れる自分が情けない。

 下着を剥がされ足を折り曲げられ、銀時の熱を、あらぬ場所に感じて。抵抗も何もする気力ももう無く。抵抗どころか、己からも腰を浮かし受け入れる姿勢を取り。両腕を銀時の首元に絡め。口付けを強請り交し合い。
だが其れでも尚、土方は悔しがっていた。
「も…なんかもう……」
「……ん?」
「テメェをぶっ飛ばしたくてたまんねェ……ッア…ッ」

 土方の言葉を最後まで聞く事も無く。遠慮も無く肉を掻き分け、土方の中に入り込んでくる楔。男の貌で笑う銀時が、土方を貫きつつ首筋に貌を埋めてくる。緩く、やわく、歯を立てられる。連動する様に腰を揺り動かされ、情けなくも高く啼いてしまう。銀時の荒く熱い吐息を感じる。キツク肌を噛み締められた。其の痛みにすら歓喜する。銀時の腰に両足を絡める。更に深い交わりを求める。
──嗚呼、確かに俺ァ…相当狂ってる。
土方は、脳裏の隅で己を嘲笑う。

 互いに柔らかな肌が有る訳でも無い。甘く香る訳でも無い。女の様にやわく受け入れられる場所も無い。強引に割り開くしか無い。張り詰めた硬い肉。骨の感触。汗の匂い。雄の体臭。
──なのに、煽られる。欲情する。…相当、狂っている。
 まるで獣同士の性交だ。組み敷き、喉笛に噛み付き、引き千切ろうとしている、此の男もケダモノだ。土方と同じだ。同じ性だ。同じ性癖だ。其れなのに、

──もう、此の侭、噛み千切られても構わねェ…。

そう思える位には、もうイカレている。

 ──思えば性交とは恐ろしい行為ではないだろうか。己の身の内に異物を突っ込まれ掻き回される。内臓を引っ掻き回される感覚。…ぞっとする。だが、そのぞっとする行為で感じている自分がいる。
 男であろうと快楽を感じる。足を広げ蛙の様に潰れた姿を取らされても。
 男に翻弄され、暴かれる本性。他者に蹂躙される身体と心。…そんな自分を無様だとも思う。暴かれるのは恐ろしい。
 受身側の性ではない。組み敷かれて悦ぶ性(サガ)でも無い。己も捕食者側だ、とそう思っている。
だが。其れでも。

──コイツとならば、此れでも良いと。コイツにならば、喰われても構わないと。…喰らい合いたいと。

そう、思う。
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